開院4年目の2月の寒いある日、夜診真っ只中に患者さんの車がクリニックの駐車場で事故を起こし、受付左側の壁を破って車がクリニック内に突入、カルテラックが倒れ、スタッフと患者さんを驚愕させ、スタッフ1人軽傷という惨事にみまわれたことがあります。倒れたカルテラックは破損、ラックはコピー機に向かって倒れコピー機も破損、うちが整形外科だったので軽傷スタッフの診察対応しました。検査機器や診察室には問題がなかったので、待合にスースー木枯らしが吹く中、希望される患者さんの診療は続行し、受付は地震直後のような状態のままで、大混乱でした。遅くまでスタッフが残って、散乱したカルテの中身を確認して、整理してくれました。この惨事の寒い金曜の夜、突貫工事で応急処置をしてもらうのに夜中までかかり、工事終了後、ひどい状況を見て、開院前の夫の苦労を思い出し泣きそうになりながら私が掃除をしていたら、帰ったはずのスタッフが1人「何かお手伝いありますか?」と顔をだしてくれ、涙がでました。この出来事でズタズタ物損事故は、私の中でチャラになりました。事故が起こり、警察にロボット対応された時は、夫が必死の思いで貯めたお金と借金で作ったクリニックがどうしてこんな目に合うのかという嘆きの気持ちばかりでしたが、惨事の渦中に事故を起こした患者さんに寛大に対応し、スタッフへ的確な指示を出し、患者さんに毅然と対応し、必要以上に落ち込まない強い夫を見直しました。(今までどう思ってたかはおいといて)
翌日、院長もスタッフも何事もなかったかのようにクリニックは診療を行いました。私は、事故時にご迷惑をおかけした患者さんへのお詫び状の作成、発送や破損物の修理、発注、見積もり、そして登場する保険会社調査員の対応です。もちろん、当たり前なのかもしれませんが、保険のおかげで当日の診療のマイナスはあったものの破損物のほとんどは、保険で対応していただきました。そしてこれも当たり前ですが、保険会社や警察の対応に感情は全く反映されないこと、ありえない面倒くささの手続を乗り越えて初めて保険対応となることを痛感しました。
痛い経験とはなりましたが、経営者としてはリスクマネジメントに対する意識を改革でき、よい教訓かつ体験となりました。ドクターの元には、ドクターマーケットと呼ばれる市場を狙い営業される保険会社の方が、節税をうたって山のようにいらっしゃいます。院長夫人も保険加入のターゲットにされますが、節税より大切なクリニック経営のリスクを1番に考えていただける方とお付き合いしたいと願う体験ともなった次第です。
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